相続人の間で相続について争うと最終的に家庭裁判所での遺産分割調停という事になりますが、こんなデータがあります。
遺産分割調停件数は毎年増加傾向にあり、2020年度は11,303件、その77%が5,000万円以下の遺産価額でした。
この事から分かるのは、遺産相続の争いは珍しい事ではなく、遺産の額にもよらないという事でしょう。
遺言書を作成するのはもっと先でいいと思われている方は多いと思います。しかし、遺言書を作成するには「遺言能力」が必要とされています。認知症や統合失調症等を患い判断能力が低下した人には遺言能力がないとして、その状態で作成した遺言は無効となる場合があります。ご自身の判断能力がしっかりしている、お元気なうちに遺言書は作成する必要があるのです。
また、認知症の方が相続人にいらっしゃる場合は、遺言書がなければ相続手続きが大変になりますので、ぜひ作成をお考えください。
よくあるご質問をまとめてみました
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遺言書作成に関するQ&A |
遺言書の形式について
一般的な遺言書の形式は次の二つです。遺言書作成は、民法に定められた内容でない場合、無効となります。作成を考えられる際にはぜひご相談ください。
名前の通り、遺言者の自筆で作成する遺言書です。遺言書の内容について、遺族がもめる要素がい場合に自筆証書遺言書の作成をお考えください。
また、自筆証書遺言書は相続発生時に遺言書の検認が必要ですが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する事により、検認が不要となりました。この制度の利用をお薦めします。
お住まいのエリアの公証役場で、公証人に作成してもらう遺言書です。遺言書の内容についてご家族が少しでも揉める可能性がある場合は、公正証書遺言書の作成をお考えください。
また、遺言書を作成される方がご高齢の場合、公正証書遺言書の作成をお薦めします。なお、公正証書遺言書の原本は、公証役場で保管されます。
遺言書作成サポートについて
遺言書作成は、ご本人からお話しを伺う事からスタートします。
法的に有効かつ、相続人が手続きに困らない遺言書を作成する為に、戸籍を収集して法定相続人の特定を行い、財産目録を作成します。行政書士には守秘義務がありますので、安心してご相談ください。
ご相談頂いた内容から最適な遺言書の形式をご提案し、お見積りをお渡しします。ご依頼頂けるという事になりましたら、ご契約、遺言書文案作成へと進んでいきます。
オンラインを利用して国内どのエリアからもご相談、ご依頼頂けます。
遺言書作成を特におすすめする方
一見仲の良い家族であっても、親御さんが亡くなられた時に今までの不満が噴出して揉めるという事はよくあります。また、相続人である子の配偶者が話しをややこしくする事もありがちです。
あなたが遺産の分配を決めておけば、そのような揉め事はほぼ回避する事が出来ます。あなたが亡くなった後もご家族が円満に過ごせるように、遺言書の作成をお薦めします。
お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合、法定相続人は配偶者一人と考えがちですが、そうではありません。
遺言書がない場合、残された配偶者と亡くなられた方の親御さんが相続人となります。既に親御さんが亡くなられていた場合には、残された配偶者と亡くなられた方のご兄弟姉妹が法定相続人となります。親御さん、ご兄弟姉妹が亡くなられていた場合、配偶者と亡くなられた方のご兄弟姉妹のお子さん(甥、姪)が相続人となります。ただし、ご兄弟姉妹、甥、姪の相続権については、遺留分がありませんので、遺言書があれば相続を発生させない事が出来ます。
なお、亡くなられた方の親御さん、お子さん(例:現配偶者の方と婚姻される前の婚姻で、お子さんがいらっしゃる場合等)には遺言書の有無に関わらず相続権(遺留分)が発生します。
引きこもり状態のお子さんを扶養されている方は、お子さんの為に遺言書を残される事は必須だと考えます。遺言書の作成と遺言執行者を指定する事により、親御さんが亡くなられた後、直ちにお子さんが生活費にも困る、という状態は回避可能です。
遺産の凍結は生活費の凍結であり、死活問題になる可能性があります。相続人が複数の場合、遺言書が無ければ遺産分割協議を行わなければならず、長引くほど生活費が無くなっていきます。それを回避する為には遺言書が必要です。また、引き込もられている方が、役所や銀行などでの手続きを行う事はハードルが高いと思います。その為に代わりに手続きを行ってくれる遺言執行者を指定しておくのです。遺産の額に関係なく、遺言書の作成と遺言執行者の指定をお薦めします。
相続人の中に海外在住の方がいらっしゃる場合、相続手続きは大変になります。海外に住まわれていても、相続手続きにはその方の公的書類が必要になるからです。海外在住の方が必要書類を揃えるには、日本領事館の窓口に手続きをしに行くか、帰国して必要書類を入手するかの選択となります。(こちらの記事もご参照ください)遺言書を作成し、遺言執行者を指定しておけば、相続手続きは執行者が単独で行えます。ご家族の為に、ぜひ遺言書の作成をご検討ください。
遺言書が無い場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行う事が法律で定められています。その協議に参加する相続人は、「自分の行為の結果を弁識し、判断できる能力」を持っている方である必要があります。意思能力がなければ、遺産分割協議は無効とされます。
相続人の中に、認知症の方、障害をお持ちで意思能力に問題がある方がいらっしゃる場合、その方との協議は無効とされますので、成年後見人の選任を家庭裁判所にしてもらう必要が生じます。家庭裁判所に「後見開始申立」を行う事になります。
成年後見人の手続きは、1か月~3か月が目安とされています。そして、申立にかかる費用は1万円~1万5千円程度、精神鑑定を行う場合5万円~10万円の費用がかかると言われています。また、成年後見人には毎月報酬が発生し、一度選任されると一生後見人がその方の財産を管理する事になります。
手続きにかかる時間や費用等を考えると、遺族の負担が増す事は間違いありません。それを回避するには、遺言書しかありません。ぜひ遺言書の作成をご検討ください。
婚姻関係にないパートナーの方は法定相続人には該当せず、遺言書がなければ遺産を相続する事が出来ません。
内縁関係の方、同性のパートナーをお持ちの方の場合、残されたパートナーをまもる為に遺言書の作成をおすすめします。
独身の方の場合、親御さん、ご兄弟姉妹が相続人となります。ご兄弟姉妹が亡くなっていた場合、その方のお子さん(甥・姪)が代襲相続人となります。その方たちの関係が円満に保たれる為に遺言書の作成をおすすめします。
また、この人に相続して欲しい、この人たちに(例えばボランティア団体など)遺贈したいという場合、遺言書が必要になります。なお、亡くなられた方に相続人がいらっしゃらない場合、財産は最終的に国庫に入ることになります。
コロナ禍でますます需要が増えてきているのがペットを飼う事です。ご高齢の方でペットを飼われている方も多いと思います。
ご高齢の方や一人暮らしの方は、もしもの時に大切なペットはどうなるのか、不安を感じている方も多いかと思います。この子が一生幸せに暮らせるようにはどうすれば良いのか。ペットが遺産を相続する事は出来ませんが、ペットの飼育を人に託す事は出来ます。
その為には「負担付き遺贈」もしくは「負担付き死因贈与契約」という方法があります。「遺贈」には遺言書を、「死因贈与」には契約書を作成する事になります。勿論、遺贈や契約の場合お願いする方への事前の相談が必要です。また、ちゃんとその方が実際に飼育を行ってくれているのかを見守ってくれる人も考えるべきでしょう。
大事な家族であるペットの為に遺言書、または契約書の作成を考えて見られてはいかがでしょうか。
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