自筆証書遺言書保管制度をご存知ですか?

今回は遺言書のお話しです。
2時間もののテレビドラマ等で「遺言書」が登場するシーンをご覧になった方は結構いらっしゃると思います。古いところでは「犬神家の一族」が有名ですね。
「遺言書はドラマの中の話しで、うちには関係ない」と思われている方は多いかもしれません。
日本で遺言書を書く人の割合は1割未満とまだまだ普及していないのが現状です。その事が残された遺族の相続手続きを難しいものにしていると言えます。

近年、歯医者で定期的な検診を受けて虫歯を作らない、後年治療費が出来るだけかからないようにする「予防歯科」が定着しつつありますが、遺言書を書くことも予防歯科のように未然にトラブルを防ぎ、かかる費用を抑えるのに有効なものなのです。いわば「予防法務」です。

国も遺言書の作成を推進しており、その一環として2020年7月から「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。
高齢化社会に突入している日本で、相続が速やかに行われる事は経済にも大変なメリットになります。相続手続きが止まってしまうと資産もそのまま凍結、塩漬けという事になってしまうからです。そこで活躍するのが遺言書です。遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のどちらかの形式が主流です。

「公正証書遺言」の場合は公証役場で遺言者が公証人に口授して作成し、自動的に原本を保管してくれますが、自分で書く「自筆証書遺言」は自分で保管場所を考えなければなりませんでした。

せっかく書いた遺言書をどこで保管すれば自分の死後、確実に遺族に届くのか。誰かに預けたら勝手に中身を見られたり、書き換えられたりしないだろうか。そんな悩みを解消してくれるのが「自筆証書遺言書保管制度」です。

この制度はお住まいの地域の法務局が遺言書を預かり、かつ、戸籍担当部局と連携して死亡が確認されるとあらかじめ遺言者が指定しておいた人に「遺言書を預かっています」と通知してくれるというものです。2022年2月現在、公正証書遺言には通知制度はありませんので非常に画期的な制度です。ただし、遺言書は本人が直接預けに行く必要があります。

気になる預かり料ですが、1通3,900円(原本を遺言者の死亡後50年間、画像データを150年間保存)と利用しやすい金額になっています。しかも、この制度を使えば「検認」が不要になります。(検認についてはこちらをお読みください)とても良い制度だと思いますが、まだ余り知られていないのが実情ではないでしょうか。

遺言書は何度でも作り直せるものです。そして、「遺言能力」がある元気なうちにしか残せないものでもあります。どう書けば良いのか分からない、自分に適した遺言書の形式が分からない、法的に問題のない遺言書を作りたい(法的に問題があれば自筆証書遺言は無効になります)という方は、私たち行政書士までお気軽にお尋ねください。

遺言書を作るのはハードルが高いと思われている方は多いと思います。ですが相続手続きを軽減させるには必要不可欠なものです。
「公正証書遺言」はお金もかかるし手間もかかって敷居が高いと思われる方は、「自筆証書遺言書保管制度」が利用できる自筆証書遺言を書いてみる事を、ぜひ一度考えてみてください。

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