「配偶者」の相続

今まで、「子」「孫」「甥・姪」の相続について当ブログで書いて来ましたが、今回は「常に相続人となる」と民法で定められている「配偶者」の相続のお話しです。

「配偶者」は常に相続人となります。しかし、「婚姻届け」を出していない場合、法定相続人とはなりません。「法律上の配偶者」である事が必要とされています。
故に、現在の日本では「内縁の夫婦」「同性同士のパートナー」など、婚姻届けを出していない、出せない方達は「相続人」ではありません。(同性同士のパートナーについてはこちらをご覧ください)

それでは、配偶者の相続をケースごとにみてみましょう。

①夫婦に子がいる場合
この場合は、配偶者と子が相続人となります。法定相続分は、配偶者と子で半々です。注意点は、子は全員で遺産の半分を相続するという点です。
ですので、2000万円の遺産があれば、配偶者が1000万円、子が1000万円。
子が2人なら、子は各自500万円の相続となります。配偶者は、子が何人であろうが、常に1/2の相続分となります。

➁子がいない場合
子が居ない場合、法定相続人は配偶者と故人の直系尊属(両親、祖父母など)となります。直系尊属がいなければ、配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人です。
遺言書があれば、兄弟姉妹の相続は発生させない事が出来ますが、直系尊属の場合は遺留分があるため、その方達が遺留分の請求をすれば相続が発生します。
詳細は、こちらのブログをお読みください。

③故人に現在の配偶者との子ではない子がいる場合
考えられるケースとしては「前婚時の子」と「認知した非嫡出子」です。いずれも、故人の子ですので、①の場合の子と同じ扱いになります。
という訳で、配偶者と子が遺産を折半する事になります。
相続人の構成と配分について、具体例を挙げてみましょう。

1)夫が死去。遺産総額が2000万円だった場合
・妻
・故人と妻の子1人
・故人と前妻との子1人

この場合、妻と子(2人)が1/2ずつ相続します。妻が1000万円、子が各500万円相続する事になります。

2)夫が死去。遺産総額が2000万円だった時。
・妻
・故人と愛人の子で認知済みの子1人

この場合、配偶者と子(2人)が1/2ずつ相続します。「認知された婚外子」は子と同じ相続分となります。故に、妻と愛人の子が1000万円ずつ相続します。
(夫が認知していなければ、婚外子は相続人にはなりません。認知の有無は夫の戸籍を全て取り寄せて調べる事になります)

というように、婚姻関係にある夫婦の一人が亡くなった時、配偶者は必ず相続人になりますが、故人に子供、両親、祖父母、兄弟姉妹が居ない限り、配偶者はただ一人の相続人になる事はありません。

現在の日本では3組に1組が離婚し、子供のいない夫婦は3割程度にのぼると言われています。
前妻との子がいる方と結婚した場合、夫が遺言書を残さずに亡くなったとしたら相続時に前妻の子と現在の妻とその子、全員で相続について協議する必要が出てきます。という事を考えると、遺言書は大切だと思いませんか?

家族の形が多様化する中、遺言書が果たす役割は大きくなってきていると思います。遺言書、相続について悩みや相談がありましたら、いつでも当事務所までご相談ください。

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