災害への備え~相続登記~

先日、能登地方の地震による倒壊家屋について、公費解体申請が出来ないケースが相次いでいるという事をNHKニュースで知りました。全額公費での解体対象となる家屋は約2万2000棟といわれていますが、3月27日時点で被害が大きかった6つの市で行われた解体工事は131件、住民の申請は4364件に留まっています。

申請したくても出来ないという住民は多く、その大きな理由が「倒壊家屋の名義」が現在の住人ではないという事だそうです。不動産の解体には相続人全員の同意が必要ですので、まずは不動産の名義人の相続人を調査して全員の同意を得る必要がある事がハードルになっているようです。

つまり、先祖代々住んできた家は、代替わりの時に「相続登記」をして名義変更をしていないことが多いという実態が明らかになったといえます。相続登記の義務化は先日、4月1日に始まったばかりですから当然といえば当然の状況です。

環境省は、やむおえない場合「所有権に関する問題が生じても申請者が責任をもって対応する」という内容の「宣誓書」を提出すれば、解体を行えるとの考えを示していますが、実際の申請先である能登地方の6つの市と町はトラブルを避けるため、宣誓書での代用は受付けていないそうです。

日本は地震の多い国ですから、どこに住んでいても、今後住まいが倒壊する可能性は0ではありません。いざ災害が起こった時に、公費解体を申請しようにも出来ない事態は避けたいですよね。

被災して大変な時に、登記簿を取寄せ、名義が変更されていない事が分かり、複数の役所から相続人の戸籍謄本を取り寄せて、相続人全員の同意を貰うという作業は心身ともに大変な負担になります。

相続登記の義務化に伴い、今後この問題は次第に解消されていくとは思いますが、今回の事態を見て先祖から受け継いだ家の場合は特に、災害への備えとして予め家の名義を確認しておくことが必要だと感じました。

では、名義を確認するにはどうすれば良いのでしょうか?
法務局から「不動産登記簿(全部事項証明書)」を取り寄せれば簡単に確認できます。
こちらのブログを参考にしてください)

登記簿は誰でも取り寄せる事が可能です。公示されているものですので、名義人との続柄も、資格も関係ありません。自分と全く関係のない不動産の登記簿も入手可能です。(余談ですが、某テーマパークのお城の登記簿や球場といった施設の登記簿も入手しようとすれば誰でも出来ます)

ただ、法務局の登録は一般的な住所ではなく、固定資産税納税通知書等に明記されている「所在」「地番」「家屋番号」で行われていますので、その点は注意が必要です。

登記簿にある名前が現在住まわれている方でない場合、名義変更の手続きを行う訳ですが、その為に行う「相続登記」は相続人全員の同意が必要ですので、まずは相続人を調査する事になります。登記簿に名前のある方の、出生から死亡までの戸籍を取寄せ、全ての相続人を調べるのです。(相続と戸籍についてはこちらをご覧ください)

例えばそれがご両親や祖父母である場合、相続人の数はそう多くはないと思いますが、曾祖父母ともなると、恐らく明治まで遡る事になり、調査だけでも大変な事になります。以前ワイドショーで取り上げられていた倒壊しそうな空き家は、相続人が100人近くまで増えてしまっていました。

何故なら、相続において「直系の相続」はどこまでも「代襲相続」される(例えば親が亡くなっていたら子が相続する)からです。相続は、「相続人が亡くなったら相続人が減る」のではなく、直系の相続人であれば、その子に相続権が代襲されますので、亡くなった人に子が複数いる場合どんどん増えていくのです。
明治から昭和初期ぐらいまでは、現代とはちがい兄弟姉妹が大勢いるのが主流でしたので、取得が必要な戸籍はなかなかの数になっていくと思います。また、民法の知識がなければ、戸籍謄本に書かれている誰が相続人に該当するのかもよく分からない、という事になります。

法務局からの不動産登記簿謄本の取寄せ、そしてそれに伴って必要となる相続人調査はぜひご相談ください。相続関係説明図(相続人を特定、明記した書類)の作成をご依頼頂ければ、亡くなった方と、その相続人の戸籍謄本を行政書士は取り寄せる事が出来ます。お住まいのエリアに関係なくお問い合わせください。相続登記については、司法書士をご紹介させて頂きます。オンラインでの面談が可能ですので、日本中どこからでもご依頼頂けます。

令和6年4月1日から始まった相続登記の義務化に伴い不動産の名義確認は必要な事ですが、災害への備えとしても必要な事です。ぜひご相談ください。

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