「生駒市パートナーシップ宣誓制度」実施から1年が経ちました
当行政書士事務所がある奈良県生駒市では令和3年4月1日から「パートナーシップ宣誓制度」が始まりました。今日でちょうど1年です。という訳で、本日はこのお話しを。
「パートナーシップ宣誓制度」とは何でしょうか。以下は生駒市ホームページからの引用です。
「この制度は、性的マイノリティであるカップルが、互いをその人生のパートナーとして、日常の生活において協力し合うことを約束した関係であることを宣誓した事実に対し、市長が認証する制度です。なお、婚姻制度とは異なり、二人の関係を法的に保護するものではありません。そのため、相続や税の控除などの法律上の効果はありません。」
ご存知の通り、日本では同性同士の婚姻は認められていません。因みにG7の中で同性婚が認められていないのは日本だけです。
この宣誓をしても前述の通り「相続、税の控除」は受けられません。この制度を利用した場合の生駒市が掲げるメリットは、
①パートナーシップ宣誓証明カードが発行される
➁市営住宅の入居申し込み資格が得られる
③犯罪被害者等支援において遺族見舞金の支給対象者となる
というものです。また、携帯電話の家族割や生命保険の受取人の適応となるように規定を設けている企業もあります。
とはいえ、「相続」や医療機関における「ICUへの入室」といった重要な問題はクリアできません。現在の日本でこういった問題に対処できるのは今のところ次の方法と考えられます。
①遺言書を作成する(公正証書遺言推奨)
➁任意後見契約を締結する(公正証書)
③「医療上の同意」を含むパートナーシップ合意契約を締結する(公正証書)
医療機関ごとに内部規定があると言われる可能性がある為、これで完全とは言えませんが、お互いを護る為に必要な書類となります。
遺言書、契約書の作成について行政書士は力になれます。
ところで公正証書ですが、これは公証役場で公証人に作成してもらう書類です。原案の作成などを事前に用意し、公証役場に予約をして必要書類と費用を揃えて出向きます。
昨今、その作成費用を助成する自治体も出てきています。例えば、大阪府茨木市は2つの公正証書の作成費用として5万円を上限に補助する事を決めました。国レベルの動きはまだありませんが、地方自治体では様々な動きがみられます。
「パートナーシップ条例」があるのは今のところ渋谷区だけですが、「パートナーシップ制度」の導入は150以上の自治体にのぼっています。少しずつですが社会の変化が感じられます。
全ての人が暮らしやすい社会になる事を期待し、少しでもそのお手伝いが出来ればと思っています。
※「同性カップルの法的な備え」については、こちらをご覧ください