家の名義とリフォームの話し
「家の名義」とは不動産登記簿(全部事項証明書)に権利者として名前が記載されている方をさします。つまり、家の持ち主として登記されている人です。
あなたが家の売却やリフォームをしようとするとき、この「名義」があなたでない場合、当然の事ながらそれは行えません。
民法では次のように定められています。
- 家の売却 ⇒ 権利者全員の同意が必要
- 家の大規模改修(リフォーム) ⇒ 権利者の過半数の同意が必要
※過半数とは持分の過半数を指し、権利者の人数の過半数ではない
例えば、同居していた親が亡くなり、引き続き住み続ける時にリフォームをしようとします。
その時にはまず「相続登記」をして「名義をあなたに変更」する必要があります。
親があなたに家を相続させるという遺言書を残していた、もしくは一人っ子で唯一の相続人であれば簡単に名義変更が出来ますが、もし兄弟姉妹がいる場合には、全員の同意が必要になります。リフォームに入る前にまずは「相続登記」をしない事には何も始まりません。
家をリフォームする場合、費用の事ばかりを考えがちだと思いますが、他にも考えなければならない事が色々あります。
最初に取り上げたのは「所有権」の問題でしたが、次に問題になるのは「税金」です。
最近、二世帯同居が増加傾向にあります。2018年には年間17万人以上が二世帯同居をしているという調査結果も出ています。
二世帯同居を始めるにあたり、親の持ち家を二世帯住宅にリフォームしようというケースも多いと思います。
ここで注意しなければならないのが、親の持ち家つまり、親の名義の家を子がリフォームした場合、家の価値が上がりますから、「親が子から贈与を受けた」事になるという事です。つまり、親が贈与税を払う必要が出て来ます。
例えば,1000万円のリフォームをしたとしましょう。暦年贈与の控除額が110万円ですので、控除後の金額は890万円。
890万円に対する贈与税の額=890万×40%-125万=231万円
となります。贈与税、怖い!となりませんか?しかも税金の納付は待ってはくれません。強制徴収が認められていますので、とにかく払わなければならない事態に陥ります。
この「不動産の名義」と「贈与税」の関係は見落とされがちですが、後日、住宅ローン控除の申請を確定申告で行った時に発覚し、大変な事になるケースが多いようです。(リフォーム業者も金融機関も贈与税の事までは教えてはくれない、もしくは知らないのかもしれません)
何せ、「住宅ローン控除」は税務署に申請する訳ですから、見逃してはくれません。
この思わぬところで「贈与税が課税される」というのはリフォームに限った事ではなく、住宅購入時に共働きの夫婦でペア―ローンを組んだ場合にも起こりがちです。これもまた、確定申告で住宅ローン控除を申請した時に発覚する事が多いと聞きます。不動産の持ち分と購入やリフォームにかかる費用の負担割合がイコールであれば、贈与税は発生しませんが、それ以外の場合には課税対象となりますのでくれぐれも注意が必要です。問題が発覚した後、名義変更をする場合、当然ながら手間も費用もかかります。なかなかの大事になります。ペア―ローンを組む場合は、単独名義はNGと覚えておいてください。
それでは、親の持ち家を二世帯住宅にリフォームする際にはどうすれば良いのか。贈与税、相続税、民法の不動産共有や相続等を総合的に考える必要があります。
当事務所では、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として、対策のご提案をさせて頂き、手続き上必要な契約書等の書類を行政書士として作成させて頂いております。
「最善策」はケースバイケースです。リフォームをした後になって、様々な問題に直面する前にぜひご相談ください。