相続手続を専門家に依頼するメリットとは
相続は誰もが経験するものです。ですが、その手続きをする事は、通常親御さんが亡くなられた時の1~2回。多くても3、4回で、慣れている人はいないと言えます。
相続が発生した時に、いったい何をすれば良いのか具体的な方法が分からず困るというのは当たり前の事です。また、役所への届出、年金の手続き、公共料金の引き落とし口座の変更や解約等、手続きが多すぎて疲れてしまう方も多いと思います。現役世代が手続きをする場合は、役所等が平日しか受け付けていない事もハードルになります。
早々に対応しなければならない手続きや仏事を行った後、いざ不動産や金融資産の相続手続となった時、そこでブレーキがかかってしてしまうのは良くある事です。
相続が発生してから何年も経過した後、重い腰をあげて残された実家の相続手続に入る方はそれなりに多いと思いますが、令和6年4月1日から相続登記は義務化されましたので、そうはいかなくなりました。
相続手続は相当頑張れば専門家に頼まなくても出来ますが、結果的に何か月も役所に通う事になったり、相続税の申告期限(10か月)に間に合わなくなったりする事があります。(10か月を過ぎると追徴課税があります)
という訳で、今回は専門家に相談するメリットについて考えてみましょう。
- 相続人の特定が正確に行える
ほとんどの方は、「相続人ぐらい分かっている」と思われていますが、残念ながらそうでもありません。
今までも、相続人はご自分だけだと思われていた方からご依頼を受けて、色々質問をさせて頂いたら他にもいらっしゃったという事がありました。また、不動産の相続登記が長年されずに来た不動産がある場合、不動産の相続人が大人数になっている可能性もあります。まずは不動産の登記簿謄本を取寄せて確認する必要があります。
相続人の特定は、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍を取り寄せて行います。そして、相続手続を行う時には、その戸籍の提示を各窓口で求められます。遺言書が無く法定相続分通りに相続しない場合「遺産分割協議書」を提出しないと相続手続は行えませんが、その協議書には全ての相続人が同意の上で署名、押印する必要があります。法定相続分通りに相続を行う場合であっても、相続人全員の印鑑証明書等の書類が必要になります。相続人の特定は相続手続のスタートラインです。(相続税の基礎控除額も法定相続人の数で決まります)
法定相続人の特定には民法の知識が必要ですし、戸籍の収集はなかなか手間がかかります。法定相続人の特定や戸籍の収集は、行政書士等の専門家に依頼する事が出来ます。
※戸籍の収集は、「相続関係説明図」の作成をご依頼頂いた上で行います
- 時間と労力の軽減
相続手続には必要な書類が多く、先に述べたように正確に相続人を把握していない場合、必要な書類の収集もままならない、という事になってきます。
行政書士には、書類の収集、申請書の作成、各種手続きを依頼する事が出来ます。また、慣れていますので手続が円滑に行えます。
依頼すると報酬は発生しますが、手続きから解放され、手続き完了までの時間も短くなります。
当事務所では戸籍の収集、財産目録、遺産分割協議書の作成、各種申請書の作成等を行い、不動産の相続登記については司法書士をご紹介させて頂いております。
- 相続税関連のサポート
このHPのブログで度々取り上げて来ていますが、相続には、相続税や贈与税といった日ごろ馴染みのない税金が色々と関係してきます。相続税の課税対象であるか否かを判断するには、法定相続人の特定、財産目録の作成が不可欠です。遺産総額と相続税の基礎控除額を把握しなければなりません。税金についての一般的なご質問にはファイナンシャルプランナーとしてお答えしております。相続手続のご依頼を頂いた上で、相続税納付の必要がある場合には税理士をご紹介させて頂いております。
- 残された配偶者のライフプランの作成
ご夫婦のお一人が亡くなられた時、残された方が今後安心して暮らす為に必要な資産をシミュレーションし、その上で他の相続人と話し合って相続の分配を行う事は大切な事です。
残された配偶者が全て相続し、その後その方が亡くなられた時に子が相続する、というケースは多いかと思いますが、残された配偶者の生活費等が大きく不足するのであれば、最初の相続の時に家等の資産の売却を考慮した相続内容にする事や、今後の対策を家族で考える事が必要です。また、残された配偶者が亡くなられた後、資産が多く残れば相続税が課税される事になりますので、最初の相続の時に相続税対策を考えた相続分配にする事も大切です。
ライフプランを作成し、残された配偶者の資産状況を把握する事は大切な事です。必要以上に節約する事も、逆に浪費しすぎる事もなく、安心して生活していく為に必要な事だと考えます。
今後、生活費にいくらぐらい必要なのか。余裕はどれぐらいあるのか。考える事は大切です。ファイナンシャルプランナーとして、残された配偶者のライフプランのご提案をさせて頂いています。
相続手続を専門家に依頼すると報酬が発生しますが、心身の負担は軽くなります。また、ライフプランや相続税対策等を相談する事は、将来への不安の軽減につながります。
出来るところまではご自身で手続きをされて、難しいところは部分的に専門家に依頼するというのも良いと思います。いつでもご相談ください。