負の相続の調べ方について
11月18日(令和6年)のNHKあさイチの特集は「知らないと怖い・・・相続トラブル」でした。ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
NHKで取り上げられる事からも分かるように、最近本当に相続が増えていると思います。
相続手続のご依頼を受けて、金融機関と連絡を取る時になかなか電話がつながりませんし、担当者からの折り返し連絡が数日後、というケースも多いです。平日にしか銀行とは連絡がつきませんので、お仕事をされている相続人がご自身で手続きを行うのは本当に大変だと思います。
また、あさイチをご覧になった方は感じられたかと思いますが、相続手続には一般の方には馴染みのない言葉が色々と出てきます。相続手続は正直言って簡単なものではありません。
あさイチの放送後、SNSで話題になっていたのが「相続放棄」です。つまり、「負の遺産」が気になる方が多かったのだと思います。
昔は、相続というと「遺産を貰える」プラスの話だったかもしれませんが、現代では「借金などのマイナスの遺産に巻き込まれる相続」が問題になって来ています。
相続とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続する事になります。
亡くなられた方が自分の資産についての記録を残してくれれば簡単に相続財産の把握が出来ますが、なかなかそうはいきません。エンディングノートを購入した人でも、実際に書かれる方は少ないと言われています。実際、私の独身の叔父の家にもエンディングノートはありましたが、白紙でした。
という訳で、負の遺産を調べる方法を簡単にまとめてみたいと思います。
①不動産があれば、不動産全部事項証明書(登記簿謄本)を法務局から取り寄せる
家を担保にして借金をしていれば、その旨が記載されています
➁通帳の確認
リボ払いや借入、カード会社の記録が残っています
③郵便物の確認
督促状などの郵便物を探します
④借用証等の確認
金銭消費賃借の契約書、借用証書等を探す
⑤手がかりがない場合、各団体へ信用情報の開示請求を行う
●クレジットカード⇒「CIC」
●消費者金融⇒「JICC」
●銀行等⇒「全国銀行個人信用情報センター」
⑥他人の借金の保証人になっていないか契約書等を探す
保証人は、債権者と保証人との契約です
この他に、放送では「住宅ローンは団信で支払われる」と伝えていましたが、必ずという訳ではありません。長期ローンを組んでいる場合、亡くなられた年齢に注意が必要です。
住宅金融支援機構の「機構団信」は満80歳の誕生日の属する月の末日まで、死亡・高度障害状態になられた場合の保障となっており、もし亡くなられた方が満80歳の誕生日の属する月の翌月に亡くなられたら、ローンの残金は相続人が支払う事になります。その年齢までローンを支払い続ける予定の方は少ないと思いますが、中にはいらっしゃるので念のためのお知らせでした。
相続放棄は、原則「相続が発生した事を知ってから3か月以内」です。例えば、ご両親が亡くなった後、兄が亡くなり葬儀に出ていたとしても、兄の子がいた場合、法定相続人は子ですので自分に関係はありません。しかし、兄が借金を抱えていて妻も子も相続放棄をしたという連絡が来たら、その日からあなたは相続人になります。連絡を受けた日から3か月以内に相続放棄をするなら家庭裁判所で手続きをしなければなりません。3か月の熟慮期間で決められない場合「伸長(延長と同じ意味)」の申立てをする事は出来ます。(認められない事もあります)それにより、1か月~3か月熟慮期間を延長出来ます。
相続放棄については、こちらとこちらをお読みください。
相続が発生したら、最初にすべき事は法定相続人の確認と遺産の把握です。
法定相続人の確認には、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍の確認が必要です。
戸籍の収集については、こちらとこちらをお読みください。
相続手続は、実際に行ってみると相続以上に手間と時間がかかると思います。相続放棄期限の3か月はあっという間に来てしまいます。
ご自分達で頑張り過ぎず、専門家に相談する事を考えてみてください。
また、親族に苦労をかけたくないという方は遺言書の作成を考えてみてください。
いつでもご相談ください。