いとこと相続

最近、おひとりさまや高齢者の問題を取り上げた番組が増えてきました。
国の予想では「2033年には1世帯当たりの人数が平均1.99人」なり「2050年には1人暮らし高齢男性の6割近くが未婚」になるそうです。
つまり、子供がいない、そもそも配偶者も居ないという人が毎年増加しているという事です。

このブログでは「甥姪と相続」「兄弟姉妹と相続」「相続人のいない財産」など色々なケースを取り上げてきました。今後ますます増えると思われるのは「甥姪と相続」ですが、今まで取り上げていなかった「いとこ」についても取り上げてみようと思います。

最初にお伝えしたいのは「いとこは法定相続人ではない」という事です。
例えば、あなたが一人っ子で生涯未婚で子供も居なかったとします。とても仲の良い「いとこ」がいて、大人になってもその関係は続き、いとこの子も甥姪のようにかわいがっていたとしましょう。年を取ってからもその人達はあなたを気にかけてくれて生涯交流がありました。

でも、いとこは「相続人」ではありません。あなたの死後、いとこやいとこの子が遺産を相続する事はありません。あなたの遺産はいとこがいても他に法定相続人がいなければ「相続人のいない財産」として扱われ、最終的に国庫に入ってしまいます。

もしあなたがいとこやいとこの子に財産を残したいと思ったら、取るべき方法は一つです。
「遺言書を書く」これしかありません。いとこに限らず、相続人がいない人が誰かに確実に遺産を渡したいと思ったら遺言書を残すしか方法はありません。
あなたの死後、トラブルがないように「公正証書遺言書」を作成し「遺言執行者」も指定しておけば、遺産はあなたが渡したい人に渡されます。

ところで、遺言書がない場合でもいとこが遺産を受け取る方法が全くないわけではありません。法定相続人がいないという場合に「特別縁故者」が居れば、遺産を受け取る事が可能です。しかし、この「特別縁故者」にいとこがなるには大きな壁があります。

【特別縁故者とは】

  • 故人と生計を共にしていた者
  • 故人の療養看護に努めた者
  • 故人と特別の縁故があった者

この3つのどれかに該当する事がまず大前提です。そして自分が「特別縁故者」であると認めて貰うためには、家庭裁判所に申立てを行わなければなりません。さらにこの申立てを行う為には、まず家庭裁判所に「相続財産清算人選任の申立て」を行い、「相続財産清算人」が選任されていなければなりません

この申立てには、家庭裁判所に故人の出生から死亡までの戸籍一式や、相続人不存在を証明するために例えば故人のご両親の出生から死亡までの戸籍一式等が必要になります。他に財産関係資料等を提出するだけでなく、場合によっては数十万円程度の予納金が必要となります。
そして「特定縁故者の申立て」は「相続人不存在の確定後3か月以内」に行わなければなりません。

というように家庭裁判所への申立てを行う事になりますが、ここまでしても、特別縁故者として認められるかどうかは分かりませんし、認められても遺産の全てを受け取れるとは限りません。つまり、手続きは高いハードルとなりますし、それを乗り越えても特別縁故者と認められるか否かは不透明です。

という事で、相続人のいない方が、誰かに確実に遺産を渡したいと思ったら遺言書は不可欠です。
遺言書を書くほどの財産はないと思われるかもしれませんが、遺言書がなければあなたの遺産は国庫に入る事になります。人は亡くなった後も葬儀代、埋葬費等が必要ですが、相続人がおらず相続人でない方が費用を立て替えた場合、後日遺産から清算してもらう為の手続きはなかな大変です。

遺言書作成の必要を感じられましたら、ぜひご相談ください。

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