固定資産税納税通知書と相続手続

令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。

元旦の朝、このHPの新年ご挨拶ブログを更新した数時間後に、地震が発生しました。私事ですが、金沢在住の親友、大晦日から金沢を訪れていた友達の安否確認をするという、不安な年の初めとなりました。
今後行政書士連合会から何かアクションがあると思いますが、司法書士会では災害時無料相談を始められているようです。一日も早い復旧、復興をお祈りしています。

さて、本日は不動産を所有している方が毎年納税している「固定資産税」と相続についてお話ししようと思います。
皆さんは「固定資産税・都市計画税 納税通知書」をご覧になった事はありますか?不動産をお持ちの方には、毎年4月か5月に市役所又は区役所から届いている書類です。この書類は、相続発生時には重要な書類となります。それは何故なのか。
一言でいうと、「亡くなった方がどのような不動産を持っていたのかが分かる」からです。

具体的に言うと

  • 不動産の所在地、地番
  • 土地、建物の課税評価額

以上が記載されているという事です。

自宅以外の「固定資産税納税通知書」があれば、他にも不動産を持っていたと考えるべきですし、その不動産がどこにあるのかも所在地が記載されているので分かります。
そして、相続手続きを行う為には不動産全部事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せる必要がありますが、その時に必要になる「物件の所在地・地番・家屋番号」(一般的な住所とは違います)もこの書類に記載されていますので、取得が容易になります。

また、相続登記の登録免許税はその年の課税評価額から算出されますので、相続登記に必要な書類となります。
その上、課税評価額から相続税の課税対象該当の有無について試算を行う事が出来ますので、とにかく不動産が含まれる相続手続きにおいてこの「固定資産税・都市計画税 納税通知書」は重要書類なのです。

因みに、相続登記を行うのが4月であれば注意が必要です。
例えば、令和6年3月中に相続登記を行うのであれば、令和5年の課税評価額で登録免許税の額が決まりますが、4月以降は令和6年の課税評価額で登録免許税が決まります。令和6年の固定資産税納税通知書がまだ届いていない場合は、別途市・区役所で令和6年度の「評価証明書」の取得が必要となります。

ところで、相続税の課税評価額について少しお話ししましょう。
相続が発生した時に相続税が発生しますが、相続税には基礎控除額があります。

相続税の基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)

遺産の合計からこの金額を差し引いたものが、課税遺産総額となります。

例えば、遺産の総額が5000万円、相続人が3人、だったとします。
5000万-{3000万円+(600万円×3人)}=200万円
つまり、相続税の課税対象額は200万円となります。

預貯金については、残高を足していけば良いので分かりやすいと思いますが、不動産についてはどう資産するのか分からない方が多いと思います。
亡くなられた方の不動産は、土地と建物に分けて計算します。

建物については、「固定資産税納税通知書」にある「家屋 評価額」が相続税の課税評価額です。
土地については、一般的に「路線価方式」と「倍率方式」の2つの評価方法があります。

・路線価方式=路線価×各種補正率×地積
・倍率方式=固定資産税評価額×倍率

です。路線価も倍率も、国税庁のホームページに「路線価図・評価倍率表」がありますので、そちらを参照してください。

という事で、繰り返しますが相続手続きにおいて「固定資産税・都市計画税 納税通知書」は重要書類なのです。
相続が開始したら「遺言書」「固定資産税・都市計画税 納税通知書」を探す事を覚えておいてください。また、事前に親御さんに「固定資産税・都市計画税 納税通知書」は保管しておいてねと伝えておくことも大切です。

もしこの二つの書類が見つからなかったら、「遺言書」は法務局と公証役場への照会、「固定資産税」については、市役所での証明書の取得と覚えておいてくださいね。

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