相続手続きにかかる時間を短くする方法とは
人が亡くなると相続が発生し、相続人は手続きをする事になります。その相続手続きには一体どれぐらいの時間がかかるのでしょうか。
相続手続きの平均は4~6か月と言われています。早くて2~3か月、長いと1年以上。相続人の間で揉め始めると、場合によっては数年という長い時間がかかります。
相続手続きを一番簡単にしてくれるのは、公正証書遺言書です。その次は法務局の自筆証書遺言保管制度を利用している自筆証書遺言書でしょう。いずれも裁判所による検認が不要です。
とはいえ、日本ではまだまだ遺言書を作成する人は多くはありません。相続が発生した時に、遺言書を残してくれた、というケースはまだまだ少ないのが現状です。
遺言書が何故手続きを簡単にしてくれるのかというと、相続人全員での話し合いが不要になるからです。逆に、遺言書が無ければ相続人が全員揃って遺産の分配について話し合い、合意する必要があります。
さて、今回は遺言書があっても無くても、これがあれば相続手続きがスピーディーに進みますよ、という相続人なら知っておきたい制度のご紹介です。
それは、法務局の「法定相続情報証明制度」です。
相続手続きには、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要になります。法定相続人の特定の為です。相続登記にも、金融機関の相続手続きにも、法定相続人を証明する為に、何通もの戸籍を持って窓口を回る事になるのです。これは遺言書があっても無くても同じです。
戸籍の束を各窓口で渡し(若しくは郵送し)、受け取った担当者がそのすべてに目を通して、相続人の特定をする。これが相続手続きに時間がかかる原因の一つになっています。
でも、考えてみてください。各窓口の担当者が同じ作業を個々にしているって時間の無駄じゃないですか?という訳で、
「法務局が相続人の特定をした書類を発行してあげましょう。法務局のお墨付きなので、もう個々に書類確認しなくていいですよね!無料で作って差し上げます!!必要枚数を言ってください!」
というのが「法定相続情報証明制度」です。(物凄く砕けた説明ですが。笑)
これを使えば、相続人は戸籍の束をあちこちに運ぶ必要も、返却してくださいと窓口でお願いする必要もなく、紙一枚を戸籍の束のかわりとして提出できるようになりました。
そして銀行等の金融機関も、戸籍の束を読み解く業務から解放され、紙一枚を確認すれば良くなりました。素晴らしいですよね!(因みに、ご高齢の方の出生時の戸籍は当然デジタル化前なので手書きで旧仮名もあり、非常に読みにくいです)
そしてこの「紙一枚=法定相続情報一覧図」は必要枚数を発行して貰えるので、手続きをする窓口の数だけ入手すれば、各窓口、同時進行で相続手続きが行えるのです。繰り返しますが、法務局の発行手数料は無料です。
という訳で、相続が発生したら「法務局の法定相続情報一覧図」の取得をお薦めします。
ご依頼頂ければ法定相続情報一覧図の請求に伴う戸籍の収集と相続関係を説明した書類の作成、そして法務局への発行申請の申出は行政書士が行えます。
日本国内であればエリアを問いません。ぜひご相談ください。