敷地内に入り込んだ隣家の木の枝は切れるのか?

桃の節句も終わり、うちの事務所の周辺では梅の花が満開です。春になってきましたね。犬の散歩をしていると、梅の良い香りが漂ってきて春だなとうれしくなります。事務所近くの公園に桜並木があるのですが、桜のつぼみも膨らんできました。

さて、今日は「梅」から派生してこんなお話しを。
梅と言えば「木」。木と言えば、枝も根も伸びますよね。うちの事務所のある住宅地は40年以上の歴史があり、大きく成長した木が随所に見られます。中にはお隣さんの敷地にまで枝が伸びてしまっているものもあります。

では、問題です。隣の家の木の枝があなたの家にまで伸びてきて「邪魔だなぁ」と思った時、あなたは境界線の内側に入ってきた部分だけ、切り落とす事が出来るでしょうか?

実はこれ、行政書士試験で出題された事のある民法の問題なのですが、答えは×です。枝を勝手に切る事は出来ません。お隣さんに「切ってください」と頼むしかないのです。

あなたに認められる権利は「相手に枝を切らせる権利」にすぎません。強制的に実行するには、訴訟を行い、勝訴判決を得なければなりません。境界線を越えて侵入した枝をあなたが切るには、2022年3月現在、裁判に勝たなければならないのです。

それでは2問目です。隣の家の木がどんどん成長して、何とあなたの庭にまで根を伸ばしてきました。植物はなかなか凄い破壊力を持っています。根がこのまま伸び続けるとあなたの家を傷つけてくるかもしれません。さて、あなたの家の境界線の内側まで伸びてきた木の根っこ。あなたは勝手に切って捨てる事ができるでしょうか?

答えは〇です。根はあなたが処分する事が出来ます。
枝はNGで根はOK。初めてこの事を知った時、同じ木なのに枝と根では扱いが違うなんて、民法の考え方って面白いなぁと思いました。

さて、最近空き家が問題になってきています。うちの周辺にも空き家がありますが、良く見ると植木が伸び放題で隣家に侵入しているところもあります。このような現状を改善するためになのでしょう。2021年に民法233条「竹木の枝の切除及び根の切り取り」が改正されました。2023年4月1日から施行されます。

枝は勝手に切れない、根は切れる、という大枠は残っていますが、裁判を起こさないで枝を切ってもよい場合が追加されました。

・枝の切除を催告したが、相当の期間内に行われない場合
・竹木の所有者が不明、あるいは所有者の所在が不明
・緊急の事情がある場合

この場合には、あなたが自ら枝を切る事が出来ます。その切除費用は原則として隣地側に請求できると考えられています。不法行為に基づく損害賠償請求の扱いです。因みに、従来の裁判で争うという方法も勿論残っています。

という訳で、隣家の木の枝に悩まれている方にはちょっと耳よりな法改正のご紹介でした。
自宅の植木でお心当たりのある方は(本来言われなくてもすべき事ですが)お隣さんに催告される前に庭木の手入れをする、少なくとも自分の家の敷地外に伸びた枝は切っておくことをおすすめします。

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