家族のスマートフォンとパスワード

皆さん、スマートフォンをお持ちですか?ほとんどの方がお持ちですよね。場合によっては複数台お持ちの方も少なくないかと思います。会社支給の携帯と、自分のスマホの2台持ちの方も多いと思います。

携帯電話が世の中に出始めたのは昭和60年頃で、iPhoneが発売されたのは2007年でした。そして現在、ほとんどの人がスマホを持つ時代となっています。という訳で、今日は遺品の中に必ず含まれているであろうスマートフォン(スマホ)を取り上げてみようと思います。

亡くなられた方の遺品の中にあるPC、スマホなどデジタル機器の中に残したデータを「デジタル遺品」と呼びます。今回取り上げるのは「スマホ」の方です。

例えば、親御さんが亡くなった時にスマホが残されました。その中には、親御さんの交友関係の資料となる電話帳、遺産の把握の重要な資料となる銀行のアプリなど沢山の情報が入っています。最近では、金融機関からの連絡は郵便物ではなくメールが主流になっています。スマホは遺族にとっては貴重な情報源と言えます。また残された画像は大切な思い出ともいえるでしょう。
ですが、皆さんもご存知の通りスマホはパスワード(以後、PWと表記)が無ければ開いてデータを確認する事が出来ません。
さて質問です。皆さん、ご家族のスマホのPWはご存知ですか?逆に、ご自身のPWを家族に伝えていますか?どちらも該当しない方が大半ではないでしょうか。

もし残されたデジタル機器のPWが分からなかったら、業者に頼もうとしますよね。確かにパソコンのPWを解析依頼出来る業者はいますが、スマホはちょっと事情が違います。
まず、ドコモやソフトバンクといった通信キャリアは端末の中身については非対応ですので頼む事は出来ません。そして、そもそもスマホのデータ復旧を検討してくれる業者の数が少ない上に開錠出来る保証はなく、報酬は20万~50万円、作業期間は半年~1年と言われています。正直お金も時間もかかりすぎますよね。また、頼んだからといって開錠出来るとは限りません。何故請け負う業者が少ないのかというと、スマホのPW解析は出来る可能性が限りなく低いからです。

それがどれだけ難しいかを示すこんな話しがあります。iPhoneのセキュリティは非常に良く出来ていて、FBIでもPWが解析できず、テロリストのiPhoneを開く事ができなかったそうです。Appleは他のユーザーのプライバシーを守る観点からFBIからのロック解除要請を拒否した為、結局開かないまま現在に至ります。

そんなスマホですので、パスワードが分からなければまず開かないと思った方が良さそうです。
という訳で、PWを故人から教えて貰っていなかったとしたら、家族は思いつく番号で試してみたくなりますよね?その場合にも注意が必要です。

■iPhone →10回間違えると、基本的にiPhoneが初期化されます。

■Android→2021年時点で初期化設定は標準搭載ではないそうですが、Galaxyの一部の機種で
      15回間違えると初期化するものもあるようです。

余談ですが、ご自身のスマホのPWを忘れても同じ事が起きますので、お互い注意しましょう。まあ、現在顔認証、指紋認証があるのでそのリスクはかなり低くはなっていますがPWはお忘れなく!

という訳で、この事からも分かるように、家族の為にスマホのPWは伝えておく必要があると言えます。
一番簡単な方法は、PWを紙に書いて家族に渡しておくことですが、現段階では渡したくない方もいらっしゃいますよね。ではどうするのか。iPhoneでは次のサービスが始まりました。

●iPhone「故人アカウント管理連絡先アクセスキー」の設定●
Apple IDを持つ利用者が、自分の死後に特定の相手にiCloud上のデータを託す事が出来る機能です。
iCloudにはiPhoneのバックアップデータ(個人があえて設定を外している情報は別ですが)が収められています。
端末の設定メニューで「故人アカウント管理連絡先」を指定すると、指定した人に対し、データを見ることができるアクセスキーが送られてきます。このアクセスキーのQRコードは印刷も可能です。保管しておくと良いでしょう。

Androidのスマホについては、iPhoneのような個人アカウント管理設定は現段階ではまだ始まっていないようす。基本的にはPWを残す方が得策と言えます。

エンディングノートを作られるのであれば、そちらに書いておく。PWを書いた紙を封筒に入れ、押印しておくなど厳重に封印しておく、書いた文字を修正テープでマスキングして、後に修正テープを削り取れば見えるようにしておく等、方法は色々あります。

近年、金融機関は紙の通帳からデジタル通帳への移行が進んでいますし、前述したように連絡はメールが主流になって来ています。ネット証券の利用も多いですし、暗号資産をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。遺族はますます故人の資産状況を把握する事が困難になっています。

以上の理由からスマホのPWをご家族に渡しておく事をお薦めしますが、それとは別にスマホを他人が読み解く事は大変な作業になりますので、財産目録を作成し、自分の死後連絡して欲しい人のリストを作っておき、その存在を家族に伝えておく事は最低限してみてはいかがでしょうか。そして、○〇payをご利用の方は、チャージした金額も相続対象となりますので、どのアプリを使われていたのかリスト化しておく事もお薦めします。

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