ご家族が亡くなられた直後の手続き(後編)
前回、ご家族が亡くなられてから7日以内にすべきことについて書きました。
今回は死後10日から14日以内にすべきとされている事のお話しです。
●10日~14日以内●
本やネットで調べると、「年金の受給停止手続きは厚生年金10日以内、国民年金14日以内」と書かれています。早いに越したことはないのですが、まずは故人の居住エリアの年金事務所に電話して確認しましょう。案外厳守とは言われない場合があります。エリアごとに違うようです。また、実際に事務所に行かなくても郵送でも手続きが出来ます。HPをご確認ください。
年金を受けている方が亡くなったとき|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
更に、自治体によっては年金事務所に行かなくても市役所の年金課等で手続きが可能な場合もあります。当事務所のある奈良県生駒市では、市役所で手続き可能です。一方、東京都在住だった叔父の手続きは区役所ではできず、年金事務所のみの受付でした。手続の受付はエリアによって異なるのが現状のようです。電話等で確認してみてください。
すべき事は、「年金受給を止める」事、そして故人と生計を共にされていたご家族の場合は「未支給年金の請求」です。年金は例えば4月、5月分は6月に支給される、というように後払いです。未支給年金を請求しましょう。窓口への相談は完全予約制とアナウンスされますが、遠方から手続きに訪れている場合は、その旨を伝えて相談してみてください。私の時には対応してもらえました。
●14日以内●
次に期限が短いのが市(区)役所での手続きです。こちらも期限は厳守でない場合もあります。死後14日以内に出向くのが難しい場合は、事前に一度市役所に電話で確認してみてください。
持ち物は次の通りです。
①故人の保険証等
➁故人の年金手帳等
③故人の印鑑登録証、障害者手帳など役所から発行されているもの
④死亡届のコピー
⑤ご自身の印鑑
⑥ご自身(喪主)の貯金通帳
⑦ご自身の身分証明書
⑧葬儀の領収書(無ければ、喪主である事が分かる会葬葉書等)
役所に着いたら、役所の案内の方などに、家族が亡くなり、その手続きの為に来た旨を伝えてみてください。どの窓口から周ると良いかなど教えてくれます。実際に行う手続きは以下の通りです。
①世帯主の変更届(亡くなった方が世帯主だった場合で、同居の家族がいる時)
➁健康保険の資格喪失届
③介護保険の資格喪失届
④葬祭費又は埋葬料等の支給申請 など
④については、健康保険証等の返却の時に聞いてみてください。通常、窓口の方がこちらから聞く前に教えてくれると思います。葬祭費又は埋葬料(保険の種類によって決まります)等は喪主が受け取る事が出来ます。この時に、あなたの通帳と葬儀費用の領収書(または喪主である事が分かる会葬葉書)が必要になります。
必要な手続きは、まだまだあります。
①公共料金(電気、ガス、水道、固定電話、NHK、ケーブルTVなど)の
引き落とし口座変更の届出、もしくは解約
➁金融機関への連絡
③携帯電話、クレジットカード等解約の届出
④生命保険等の請求
⑤高額医療費の申請
⑥車の名義変更 など
更に、私の場合故人の家が遠方かつ借家だった為、遺品整理を業者に頼むことにしました。
その場合、どの業者に依頼するかが悩ましいところですが、私の場合は大家さんに紹介された業者にお願いしました。遺品整理後、鍵の返却もその業者さんから大家さんに直接してもらう事が出来たからです。お陰で、鍵の返却のために再度上京する事は避けられました。
遺品整理で悩んだら、大家さんに相談するのも一つの方法だと思います。
また、遺品整理業者からの高額請求トラブルも聞きますので、相見積もりを取るなど、良く調べてから決めてください。
遺品整理を依頼する場合、①の公共料金の解約については、業者さんと確認してから行うようにしてください。私の時には、電気を止めてしまうと夜間の作業が出来ないので作業終了まで止めず、ガスは安全の為止めてくださいと依頼されました。
さて、ここまで来たら、残るのは遺産相続手続きです。亡くなられた「直後」の手続きではありませんが、補足として書いておきます。
相続手続きに期限はありませんが、相続税の手続きには期限があります。
相続税の納付期限は「被相続人が亡くなった事を知った翌日から10か月以内」です。遺産の分割についての話し合いに期限はありませんが、相続税の計算に必要となる法定相続人の特定と遺産の特定は10か月以内に行う必要があります。
相続税には基礎控除額があります。基礎控除額を超えた場合のみ申告する事になります。超えない場合、すべき手続きはありません。
そして注意したいのは故人の借金です。相続財産には借金も含まれます。郵便物等を調べて、督促状が来ていないか、持ち家なら登記簿を取り寄せ、抵当権の設定はないかを調べましょう。言うまでもなく、残された資産より負債の方が大きければ相続放棄を選択する方が良いという事になります。
財産放棄が出来る期間は、自分の為に相続開始があった事を知ってから3か月です。放棄する場合には、法的手続きが必要ですので弁護士又は司法書士へご相談ください。
人が亡くなるとしなければならない事は沢山あります。期限があるもの以外は無理の無いペースで進めていってください。そして困った時には、いつでも行政書士までご相談ください。
※当事務所では、不動産登記簿謄本の取得、相続人の特定とそれに付随する戸籍の取寄せ、
遺産分割協議書の作成等を行い、司法書士に相続登記の依頼をしています。
オンラインを使い、地域に関係なく受任しています。いつでもご相談ください。