離婚、再婚と相続について

現在放送中のNHK朝ドラ「虎に翼」を毎日楽しく観ています。その中で、主人公の学友である梅子さんの離婚問題と相続が取り上げられていました。離婚したのかと思っていたら、実は離婚していなかったので、夫が亡くなった後、梅子さんにも相続権があり、色々と問題が発生して・・・という物語が描かれていました。

ドラマの中の法定相続人は、妻と3人の子供でしたが、(ドラマの中では妻1/3、子が3人で2/3の相続分でしたが、現在は昭和55年に改正があった為、妻1/2、子3人で1/2となります)梅子さんがもし離婚していたら、3人の子供だけが相続人でした。

という事で、今回は離婚と相続、そして再婚の場合も含めて考えてみたいと思います。
実例をあげるのが一番分かりやすいと思いますので、具体的に設定してみましょう。

●2人の子がいる夫婦が離婚し、夫が亡くなった場合の相続について●

【夫は離婚後、再婚せず、新たな子もなく亡くなった時】
子⇒各1/2を相続する

【夫が再婚し、現婚の子が1人いて亡くなった時】
現在の妻⇒1/2を相続する
前妻との子⇒各1/6を相続する
現婚の子⇒1/6を相続する

【夫が再婚し、妻の連れ子(1人)を養子にしてから亡くなった時】
現在の妻⇒1/2を相続する
前妻との子⇒各1/6を相続する
養子の子⇒1/6を相続する

【夫が再婚し、妻の連れ子(1人)を養子にせず亡くなった時】
現在の妻⇒1/2を相続する
前妻との子⇒各1/4を相続する
連れ子⇒相続人ではない

【夫は再婚しなかったが認知した子が1人いて亡くなった時】
前妻との子⇒各1/3を相続する
認知された子⇒1/3を相続する

という訳で、常に元妻は相続人ではありません。そして「子」は「実子」「養子」「認知された子」全員が平等に相続権を持ちます。相続割合も平等です(認知された子については、平成25年9月5日以降に開始した相続から平等となりました)

あと、注目すべきは「再婚時の連れ子」は「養子でない限り血のつながらない親の相続権はない」という事です。婚姻相手の連れ子に相続をさせたいのなら、養子にしなければなりません。案外知らない方が多いかと思います。

再婚されている方で前妻との子がいる場合、相続は前妻の子と現在の妻、子が相続人となります。遺言書があれば、その人達が話し合う必要はありませんが、遺言書がなければ全員が集まり、「遺産分割協議」を行い、「遺産分割協議書」を作成しなければ相続手続は出来ません。
円満、円滑に話し合いが行われる可能性が高いとは言えませんので、遺言書の作成をおすすめしたいケースです。

ところで、「相続」というと「財産を貰える」というプラスのイメージを持つと思いますが、相続は「負の資産」も該当します。亡くなった夫が、借金を抱えていた場合、その債務が子供達に降りかかってきます。相続放棄が出来るのは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。(詳しくはこちらお読みください
相続人が相続財産の内容を速やかに把握できるように、こちらもやはり遺言書なりエンディングノートなり、せめて負債も含めた「財産リスト」は残される事をおすすめします。

親が離婚しても、子供は「直系」の「子」であり、「相続人」である事に変わりはありません。常に相続人です。
ぜひ、お子さんや現婚のご家族が相続で悩まされないように、離婚をされた事がある方は、遺言書の作成を考えてみてください。

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