長年、公共工事の現場監督をしていた経験から申し上げると、このシステムによって安全体制と施工体制がとても楽になると思われます。
現場では多くの職人さんが働いており、入場する前には新規入場者教育を行います。その中で、所属事業者名と雇用事業者名、又は一次業者か二次業者か記載してもらうのですが、本人すら何を書いていいのかわからない者がいます。こちらとしては、作業員名簿を見ながら確認するのですが、作業員名簿をまだ提出されていない事業者の場合は確認することができません・・・そのような事が無くなると期待しています。
ちなみに、新規入場者教育を検査されたとき、請負契約書がない事業者の職人が入場している事が発覚した場合、建設業法違反となる場合があるので注意が必要です。
技能者の立場からすると、経験や資格の見える化により収入アップにつながる可能性があります。今後、建設業の許可を取得する場合にも役に立つはずです。事業者に雇用されている者は事業者が登録してくれると思いますが、どこにも所属せずに働いてる職人さんの場合、一人親方として登録するか、個人事業主として登録するか、若しくは技能者登録のみ行うかの選択が必要になります。
登 録 方 法 |
形 態 |
契 約 |
保 険 関 係 |
一人親方 | 従業員を雇わず、自ら技能者として作業する者 | 請負契約 | 労災保険特別加入(一人親方)
国民健康保険 国民年金 |
個人事業主
(5人未満) |
一人以上の従業者を雇い、作業に従事させる者 | 請負契約 | 国民健康保険
国民年金 雇用保険 (事業主:労災保険特別加入) |
技能者登録のみ | 事業者と雇用契約を結び現場に入場する者 | 雇用契約 | 所属事業所による |
※一人親方も個人事業主なので、開業届は必須です。
現場に入場する為には、請負契約を締結するか、元請か下請業者と雇用契約を結ぶかの選択になるわけです。
例えば、「空いてるから明日、応援に行ってあげるよ」とは簡単にはいきません、請負契約を結んでいれば可能ですが、そうでなければ応援先との請負契約からスタートです・・・
請負契約ですから、契約書(発注書・請書)に決められた項目を記載して工事の範囲等を明確にする必要があります。また、請け負った仕事には法的責任も発生します。簡単に1人工の応援とはいきません・・・
それが、CCUSのカードで請負契約の有無までわかるようになるので、カードを通さないと入場できない状況になった場合、今までの慣習が淘汰される事なるでしょう。
現場での手伝いさん(雑工)などに請負の目的物と言われても、その場その場で清掃作業をしてもらったり、現場で水替えをしてもらったり、資材の運搬をお願いする場合もあったり等、請負契約になじまない性質の仕事もあります。そうなると、雇用契約を結ぶしか方法がなくなりそうです。
国土交通省は2023年度、公共工事で原則化するそうですが、形におさまらないこともあると思いますので、なじむまでは時間がかかりそうです。
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